2010年3月2日火曜日

● ウェルカム・バック、大西順子。



楽興の時 / 大西順子, 2009






待ってました! というのが聴く前の感想。
実際聴いてみると、期待通りの大西順子の音楽ではないが、長く聴き続けることができそうな感想を抱いた。
感覚で表現すると、派手さ、キャッチー感、ドライブ感は薄れたが、ウネウネ感が増した。
一聴するとゴリゴリ感も薄れたが、タッチを変えて内面的にゴリゴリ行ってるような気がします
(何言ってるのか自分でもわかりません)。
「あれ? なんか違うなあ……いや、やっぱり大西順子か」という感じです。

要はまだよくわかってません、つかめてません。
でも、長く聴いてみたいと思ってるのは事実。次作に注目。

そうそう、大西順子といえば、わたしは勝手に「モンク・ミンガス・エリントン」の系譜に連なる音楽家だと考えてます。
選曲とか和音の感覚とか、すごく共感できる。その流れで考えると、#1の「Hat and Beard」はいきなり「キター!」って感じだったけど、エリントン臭は皆無。
やっとエリントン臭くなったのはボーナストラックの「So long Eric」(ミンガスだ)で、「Mood Indigo」と「Do Nothin' Till You Hear From Me」。ちょっと取って付けた感はあるけれど、エリントンへの目配せも忘れていないということか。
モンク、ミンガス、エリントンへの今後の解釈にも注目。

タイトルの「楽興の時(Musical Moments)」は、シューベルトとかラフマニノフから来てるのかな。
不勉強なので、このタイトルを初めて目にしたときはアドルノに由来するのかと驚いた。
すごい、大西順子は身を潜めている間アドルノなんて読んでたのか、と。
もちろん、アドルノの方がシューベルトやラフマニノフに言及してるわけなんだけど。