2010年12月31日金曜日
● ミスター"Q"の世界(ジャズ寄り)。
This is how we feel about "Q" (Q~生誕70周年記念ベスト)/ Quincy Jones
これはうれしい企画盤だ!
ブラックミュージックのゴッドファーザー、クインシー・ジョーンズのおいしいとこどりな1枚。
はじめてQのすごさを感じたのはベイシーの"This Time By Basie"。
「ドカーン!」というベイシーのグルーヴはそのままで、
おなじみの曲を都会風の聴きやすいアレンジされたサウンドがカッコよかった。
『オースティン・パワーズ』の'Soul Bossa Nova'(1-#5)や、
最近では『キル・ビル』の'ironside'(2-#3)など、一般的にも有名な曲が多い。
しかし不思議なのは、'Take Five'に'The Sidewinder'、'Moanin''などの
「超」や「ド」がつく名曲が、特に奇を衒ったアレンジをしているわけでもないのに、
十分「聴ける」音楽になってること。
これがすごい。
J-POPをinstrumentalにするみたいな感じで、
そのままやるとダサダサになるから、たいてい大胆なアレンジをするものだけど、
直球なビッグバンドアレンジを施して聴いてて楽しい音楽になってるのはさすがだな~。
こうして書いてると、単なる器用な人なだけのように思えてくるけど、それだけじゃない。
たまに垣間見える「狂気」が最大の魅力だったりする。
たとえば、この2枚組のでうと、2-#13の'Tell Me A Bedtime Story'。
テーマメロディーこそエレピが静かに奏でるものの、
この曲の大部分はシンセストリングスのユニゾン風ソロ。
シンセの「大げさ感」とソロ・メロディの意外性のおかげで全然飽きない。
というか、ずっと聴いていたい。
高校の頃にちょっと背伸びして、
『愛のコリーダ』を近所のレンタル店で借りたときはピンと来なかったけど、
いまならわかります。
こんな感じで、今度はブラコンサイドのQのベスト盤聴いてみたいなあ。
2010年12月30日木曜日
● クールなフリー・ジャズ。
大友良英ニュー・ジャズ・クインテット・ライヴ / 大友良英ニュー・ジャズ・クインテット, 2002
分類としては「音響系フリー・ジャズ」とでもいうのかな。
大友良英の面目躍如って感じの構成・演奏で、これはカッコいいです。
メロディーとかはどうでもよくって、
とにかくその場で響いてる「音」によって前へ進む、という音楽かな。
この場合の「響き」とは必ずしもハーモニーとかコード進行を意味しているわけじゃなくて、
「騒音」とか「静寂」とかの、広い意味での響きのこと。
その意味で、もはやジャズというか能みたいな芸能ともいえると思うけど、
まあ、フリー・ジャズって多かれ少なかれそういう要素はあると思うからそれはいいや。
とにかく言いたいことは、これはクールなフリー・ジャズだということ。
選曲もいい。
#1、ショーターのSwea Pea, そして#3、ドルフィーのHat and Beard!
Hat and Beard、カッコよすぎ!
ドルフィーがモンク、ミンガス直系の作曲家であることを証明する曲だよね、この曲は。
メロディーとも言えないようなメロディーだけど、
フリーなステージに混ぜるとすごくメロディアスに聞こえて、
しかも緊張感と狂気を失わない。
そういや、カムバックした大西順子も『楽興の時』でこの曲を
ドアタマで取り上げていたことを思い出す。
で、#4のEurekaはジム・オルーク。
やりすぎでしょ、これ。
あと、菊地成孔のテナーもいい。
わたしが菊地成孔を真面目に聴き始めたのはDCPRG以降だけど、
こうしてバンドメンバーの一員として聴いてみると、
1発で「ナルたんだ!」ってわかる。
個性があるってのはそれだけで才能です。
これも嬉しい発見。
2010年12月27日月曜日
● 「ソイルのトリオ」以上の何かに期待。
Just Another Mind / J.A.M., 2010
SOIL&“PIMP”SESSIONSはすごく好きなバンドで、このブログでも何度か取り上げてる。
だから期待してたんだけど……うーん、想定内の感想です。
普通、カルテットとかクインテットがトリオだけの演奏になると
自由度が増し、ハチャメチャになったり創造性あふれる演奏になったりする
(例:60年代マイルスクインテット、例外:コルトレーンカルテット)。
でも、J.A.M.の場合はソイルが小さくまとまってる感じかな。
緊張感が増し、さてここから下品なアルトが入ってもう一段階ブチ切れるぞ…
…というところで収束へ向かっていってしまう。
メンバーが興奮していって、どんどんテンポ加速したり、
加速してもグルーヴが詰まらないところとか、
キメの精度が高いのはさすが息があってるなあ、と思うんだけどね。
適当な意味じゃなくて、今後に期待します。
2010年12月26日日曜日
● グルーヴは最高!…なんだけど。
Pirates / indigo jam unit, 2008
1stからリアルタイムで聴き続けているバンド。
たしか、1stは京都に住んでた頃に京都のビレッジバンガードで買ったはず。
その硬派なバンドサウンドには裏切られたことはない。
高槻のジャズストリートにも1回来て、夜の野外ステージに出たのももちろん聴きに行った。
ただ、どうしても気になるのがピアノかなあ。
高槻のジャズストの時もMCの笹井克彦(Bass)が言ってたけど、
ピアノの樽栄嘉哉は20歳くらいから楽器を始めたんだって。
それにしては信じられないくらい指が回るし、カッコいいフレーズ弾くけど、
基本的な楽器力、音楽の筋肉みたいなものが薄いように聞こえる時がある。
たとえば、このアルバムに限らず、CDのピアノの音がやけにキンキンしてて耳障りに聞こえる。
これって録音の問題かと思ってたけど、
もしかしたらアコピじゃなくてキーボード使ってるのかな?
タッチもところどころ雑に聞こえるし、グルーヴ感もちょっとカタイ。
全般的に余裕さがないように聞こえるんだよなあ。
まあ、この必死さというか没入している感じがバンドの音に合ってるからいいんだけど、
あまり幅のある表現ができなそうなので、ファンとしてはちょっと心配。
ファンとは勝手なもので、好きなバンドにはカラーを求めていながら、
冒険というか、新しい音を期待するものだから。
と、まあ色々文句のようなこと書いたけど、
これも全部このバンドが好きだからこそのこと。
新作のRootsも絶対聴きますよ。
初回盤はDVD付き。
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